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鉢形のお茶室〜三帖台目のお茶室

 
変わらぬこと

茶道を知る人は幸せである。つい、埋もれがちな日常生活の中で、茶を通じて自分を表現できるのはなんと素敵なことであろうか。十数年前、ある寺で庫裏の仕事をしていた時に、お茶をいただいたことがある。私の場合、作法などほとんど知らなかったので、勝手に飲んだだけであるが、大きな茶碗を手にした時の丸い感触は今でも忘れない。(その後、お茶の指導をいただくことになりますが。) それから、お茶をたてる人といただく人が居住まいを正して語らいあうのは本当に素晴らしいことだと感じている。いつもは余りに親しすぎて、また、そのつもりになって日常の中では「ありがとう」も照れてしまい、冗談まじりに言ってしまいがちである。人間は親しすぎても、遠すぎても素直になれないのかも知れない。 その点、茶道はコミュニケーションにとって最適な場になる可能性を秘めている。一人が茶をたて、一人がいただく対応関係や味覚が徐々に距離を正しくしていく。その後で、寛げる語らいが出来るのだ。 茶道とは人と人との正しい距離を測る芸術なのである。 茶道の道たる由縁は、その様式美にあるのではなく、人と人との正しい関係を築き上げていこうとする努力にこそあるのではないだろうか。 さて、このお茶室は、2年かがりで完成した工事関係者と私の、そして、オーナーの宝物です。創っては壊し創っては壊し、最高の建築を残したいそんな思いが、このお茶室には込められています。

本格的なお茶室
構造:木造平屋建て
基礎:べた基礎
延べ床面積:13.55m2 4.1坪

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